私たちの学校におけるフィールドワーク学習の意味


 私たちの学校の教育目標の1つに、「人間として、ひろい視野に立った統一的な展望を創りあげることができる自己形成力を養う」というものがあります。少々、難しい言い方をしていますが、「自ら考え、行動する力を養っていこう」ということです。別な言い方をすれば、「自律的な学習者をめざそう」ということにもなります。では、どうやって、こうした力を養っていったらよいのでしょうか?その方法の柱の1つとして、私たちは、科学的な認識力(論理的な物の考え方、筋道を立て説明をする力)を養うのはどうかと考えました。そして、その具体的な方法として、@直観力の養成A仮説形成力の養成B討論力の養成C実証力の養成D論理化力の養成と言う5段階の流れを想定しました。こうした5段階の流れは、私たちの学校における、1日の授業、シーズンのプログラム、1年間のカリキュラムなどの全てのプログラムに生かされています。このような私たちの学校における学習方法論を背景にして、フィールドワークという学習活動の意味を考えた時、その学習活動が持つ意味は、2つあると考えられます。まず1つは、上述した5つのプロセスを全て使う密度の濃い総合的な学習の場であると言うこと。そして、もう1つは、今回、私たちが採用している学習の方法がホームスクーリングと言う家庭を中心に展開をしている学習であるため、その活動の中において、学習の実証をしていく実際的な機会が家庭の他に必要なのではないかと考えた点です。

 次にそうしたフィールドワークの場を、「沖縄」「アウシュビッツ(オシフェンチム)」「ベトナム」と言う3地点にしたことについて、付記をしておきます。これには、私たちの学校が、その学習のテーマとして、「平和」と言うテーマを掲げていることにあるのは言うまでもありません。私たちの学校におけるテーマは、上述した各学習活動を束ねる意味を持っているわけです。こうした3つの場は、私たちが住んでいる地球と言う星の中にあって、平和の意志の歴史を色濃く残している場所です。言い換えれば、そこに住む人々が、自由への意志をその多くの外力に屈することなく持ち続けた歴史を持つ場所です。そうした場所に立ち、生活者の視点で、その地で生活をすることを体験することは、自律的学習者をめざす私たちにとっては、必要不可欠なものであると思っているのです。

フィールドワークの目的
1.本校における教育理念のバックボーンを考えてもらう機会。
2.異年齢集団における自治的活動の機会。
3.歴史や地域の違いによって発生する生活者としての視点の相違を理解する機会。
4.テーマに対する実証性を確認するための機会。
5.学習の方法(今回は旅)を主体的な意識によって組み立てる機会。